ホタテ騒動
好きな食べ物、料理について、最初に食べる派と、最後に食べる派に分かれると思いますが、私は後者です。
私は昔から大好きなものは取っておき、最後に心ゆくまで味わいながら食べるのが今も昔も変わらない習慣です。
最近気に入って足繁く通っている和食のお店があります。
閑静な住宅街にある隠れ家的なお店で、お店の雰囲気やご主人の人柄も良く、そして料理の味は絶品です。
事件は料理のスタート時に起こりました。
今夜のお通しは「ホタテとアスパラの黄身酢あえ」でした。さっと茹でたアスパラと焼き目のついたホタテに卵の黄身と酢を絶妙なバランスで混ぜたソースがかけられた、日本酒に合う本当に美味しい一品でした。
例によって最後の一口は好物のホタテと決めていました。その前に日本酒を一口いただき、さて、と思った瞬間です。隣の席からスッと箸が伸びてきて、最後の一口となるはずだったホタテが一瞬のうちに夫の胃袋に消えていきました。
予想外の展開にしばらく言葉を失いました。夫は私が残したのだと思い食べてしまったのですが、私の様子を見て違うとすぐに察したようでした。
でも食べてしまったものは仕方がありません。2人で笑うしかありませんでした。
思い起こせば、以前にも同じことがありました。
苺ショートケーキの苺を最後にと決め、黙々と他の部分から食べていた私の横から、叔父が「苺嫌いなの?」とあっという間に私の苺を食べてしまったのです。
そんなことが前にもあったなと思い出したらおかしくて、習慣というものはそう簡単には変わらないんだなと改めて思いました。
2度あることは3度あるといいます。今までの習慣をちょっと変えてみるのもいいかな?と申し訳なさそうにしている夫を見ながら思いました。